
パワートランスミッションテクノロジーの概念図
円筒歯車は自動車や鉄道などの多くの移動体に用いられていますが,このような移動体では歯車に起因する不快な騒音が重要な問題となっています.今後,燃料電池自動車のように電気モーターを駆動源とするようになると,これまで以上に車両の静粛性が高まるため,歯車騒音はより顕著に現われると予想されます.
そのため,設計者は与えられた制約条件の下で,優れた静粛性を発揮する歯車を設計する必要があります.また,当然ながら,その歯車は十分な強度性能を持たねばなりません.このため,非常に高度な設計が求められます.
そこで,本研究では振動性能と強度性能の両面で優れたパフォーマンスを発揮する動力伝達用歯車の設計法の開発を行なっています.また,製造誤差が歯車の運転性能に与える影響についても調査しています.
乗用車などの移動体では車内空間を大きく確保する必要があり,パワートレーンシステムには小形化が強く求められています.また,エンジンの出力は年々増加しており,パワートレーンにもこれに対応する負荷容量が求められています.このため,パワートレーンの中核である歯車は,これまでよりも小さな歯車で,より大きなトルク,パワーを伝える必要があります.
この研究では,歯車の耐久試験により,このような高負荷容量化を狙った歯車で問題となる損傷の特徴を明らかにするとともに,解析などによりその原因を調査しています.これにより,歯車の負荷容量の向上を目指しています.
ハイポイドギヤは乗用車の最終減速などに用いられる歯車であり,車内空間を有効に利用できる,車両の安定度が高くなるなど様々なメリットがあります.しかしながら,スカッフィング損傷を発生しやすいなど強度面で難しい点があります.また,乗用車などでは優れた静粛性が求められるため,騒音の原因となる歯車振動を抑えなければなりません.
このためには,設計,品質管理などの各工程で効果的な対策をとることが重要となります.そこで,かさ歯車,ハイポイドギアの振動性能,強度性能を解析するためのシミュレーションを開発し,優れた性能を発揮する歯車を実現するための設計上,加工・品質管理上の対策について研究を行っています.